全件照合、断念へ 65歳以上2000万人限定、続ける意向−厚労省検討
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- 2011-5-27 12:50
厚生労働省は25日、年金記録漏れ問題をめぐり、コンピューター上の記録と7億2000万件の紙台帳の全件照合を断念する方向で検討に入りました。費用対効果を踏まえた判断で、今後の作業については、65歳以上の厚生年金受給者の記録照合に限定し、年金回復額が比較的少ない国民年金の記録照合は見送る方針。しかし、全件照合は同党マニフェスト(政権公約)の柱で、党内から反発も出ており、調整が難航する可能性もあります。
全件照合は、民主党がマニフェスト(政権公約)で「国家的プロジェクト」と位置付け、作業を平成25年までに完了させる予定で昨年10月に開始しました。これまで、約5千万件の「宙に浮いた年金記録」を含む約7億2千万件について、1万8千人態勢でチェックしてきました。 11年度予算は736億円。13年度までに全件を終える目標でしたが、総額で3000億円程度かかるとされています。
しかし、同機構の抽出調査によると、65歳未満や国民年金のみの加入者の場合、照合して記録訂正をしても、死亡までの平均の年金増加額が500〜3000円にとどまり、1人分の照合費用約3400円を下回りました。
一方、65歳以上の厚生年金受給者は、平均で生涯2万2000〜7万円増加します。このため、厚労省は65歳以上の厚生年金受給者分(2000万人)に限り、照合を続ける意向です。