クボタ石綿訴訟 周辺住民の健康被害、初認定―神戸地裁
- カテゴリ :
- Blog
- 執筆 :
- 2012-8-13 3:30
大手機械メーカー、クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民2人の中皮腫による死亡について、同工場から飛散したアスベスト(石綿)が原因として遺族がクボタと国を相手取り、計約7900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2012年8月7日、神戸地裁で行われました。小西義博裁判長は1人については「飛散した石綿に曝露した」と認定し、クボタに約3195万円の賠償を命じ、国への請求は棄却しました。
工場労働者や運搬作業員以外に、周辺住民の石綿による健康被害に対し企業の責任を裁判所が認めたのは初めてとなります。
原告は、旧神崎工場から約200メートル離れた別の工場に勤務していた山内孝次郎さん(平成8年死亡、当時80歳)と、約1キロ離れた地区に住んでいた保井綾子さん(平成19年死亡、当時85歳)の遺族4人です。クボタは被害発覚後、周辺住民らに最高4600万円の救済金を支払ってきたが遺族らは受け取らず「責任を認めて謝罪してほしい」として提訴していました。
判決理由で、小西裁判長は運搬時の破れた麻袋からの漏出▽建物開放部からの飛散▽集塵(しゅうじん)機の性能の限界などから「工場敷地外への飛散を十分に防ぐことができていなかった」と認定。中皮腫を発症した周辺住民の居住地と神崎工場までの距離などを研究した学術論文に基づき、山内さんについては「発生源が旧神崎工場と推認させる」としてクボタの責任を認定しました。保井さんについては、居住地が離れており「関連性があると断定できない」と判断しました。
この神戸地裁判決を受け2012年8月9日、原告や弁護士によって東京・永田町の衆院第1議員会館で開かれた報告会には、国会議員6人を含む約20人が出席し、原告側の八木和也・弁護団事務局長らが、被害の実態や今回の判決の内容を説明しました。
山内さんの長男康民さん(64歳)は「クボタと、石綿の危険性を知りながら規制しなかった国は、被害がこれほど大きくなった責任を取ってほしい」と議員らに訴えました。