真夜中と朝のはざまで想うこと - Blogカテゴリのエントリ
厚生労働省は2012年8月16日、派遣切りなどで仕事や住まいを失った人に家賃を補助する住宅手当制度を、2015年度から恒久化する方向で検討に入りました。最長9カ月の手当支給期間中に再就職先を見つける人が多く、増加する生活保護費の抑制も期待できるためです。
同制度はリーマン・ショック後の雇用情勢悪化を受け、緊急対策として09年10月に開始しています。設置した基金から経費を出していましたが、12年度末にも財源が枯渇する見通しです。このため厚労省は基金方式から法律に基づく恒久制度に切り替え、国の予算で経費を手当てしたい考えです。厚労省は、取りあえず13、14年度は基金制度のまま必要な経費を予算計上して延長することなどを検討しています。15年度から手当を恒久化するため、今秋にまとめる「生活支援戦略」で、方針の明記を目指します。
住宅手当は失業して住まいを失ったか、失う可能性のある人が対象です。東京23区の単身世帯では月5万3700円を上限に支給されます。ハローワークに通って職探しをしていることに加え、世帯収入や預貯金額に条件があります。失業手当を受けている場合でも、収入などの条件を満たせば住宅手当をもらえます。
厚労省によると、ことし5月までの受給者は延べ約8万5千人で、支給総額は200億円です。うち6カ月以上か、正社員のように期限がない雇用契約を結んで再就職した人は約3万2千人で、受給者の38・0%に達しています。年度別では11年度54・5%、12年度(4〜5月分)52・9%と、近年は5割を超える人の安定した就職につながっています。
厚生労働省は平成24年10月1日から、雇用調整助成金と中小企業緊急雇用安定助成金について、支給要件の見直しを行うことを発表しました。
平成20年9月のリーマン・ショック後、雇用調整助成金等の支給要件を緩和してきましたが、経済状況の回復に応じて見直すことになりました。
【見直しを行う要件の概要】
・生産量要件の見直し 「最近3か月の生産量または売上高が、その直前の3か月または前年同期と比べ、5%以上減少」を「最近3か月の生産量又は売上高が、前年同期と比べ、10%以上減少」とします。 また、中小企業事業主で、直近の経常損益が赤字であれば、5%未満の減少でも助成対象としていましたが、この要件を撤廃します。
・支給限度日数の見直し 「3年間で300日」を、平成24年10月1日から「1年間で100日」に、平成25年10月1日から「1年間で100日・3年間で150日」とします。
・教育訓練費(事業所内訓練)の見直し 「雇用調整助成金の場合2,000円、中小企業緊急雇用安定助成金3,000円」を、「雇用調整助成金の場合1,000円、中小企業緊急雇用安定助成金1,500円」とします。
※岩手、宮城、福島県の事業主は、6か月遅れで実施します。
2012年8月13日、福島労働局は福島市の産業機械器具卸売業A社が、国の中小企業緊急雇用安定助成金約2千万円を不正受給していたことを発表しました。同社は7月に延滞金を含む全額を返還しました。
福島労働局によると、同社は平成21年3月〜今年1月、実際は働いていた従業員について、休業させたり、教育訓練を受けたりしたように書類を偽造し、休業補償などのため国から支給される助成金を不正受給していました。3月に労働局が事業所に立ち入り検査し発覚しました。
北海道内の年金受給者に送付された8月分の「年金振込通知書」約70万通のうち、約4万通の振込先や支給額に記載ミスがあったことが10日、分かりました。すべて札幌市中央区と東区内の年金受給者で、他人の基礎年金番号や振込先、支給額などが記されていたということです。
機構によると、記載ミスがあったのは、8月の年金額に変更がある両区の受給者の一部に送った通知書。機構では、正しい表示の通知書を15日までに再送付し、記載ミスのあった通知書を同封する返信用封筒で回収する考えですが、いずれにしても8月分の支給は適正に行われるとしています。
通知書の印刷業務を受託した印刷会社はプログラムミスを原因に挙げています。誤った項目は、基礎年金番号や振込先の金融機関名、年金額などで、口座番号は記されていないということです。他人の情報が誤記載されていることについて、機構は「受け取った人には誰のものか特定はできない」と説明しています。
通知を受け取った人から「自分の指定している口座ではない」といった問い合わせが、9日に札幌市内の年金事務所や相談センターに相次いだため、機構が調べたところ、記載ミスが判明しました。
問い合わせは、電話だけでなく、直接相談に訪れた人も多く、同日だけで少なくとも700〜800件に上りました。これとは別に有料の「ねんきんダイヤル」へも多数の問い合わせがあったとみられます。
機構広報室は「ミスを指摘していただいた方々に交通費や電話代は出せず、申し訳ないと言うしかない。印刷業者には確認の徹底などの再発防止を指導する」としています。
大手機械メーカー、クボタ旧神崎工場(兵庫県尼崎市)の周辺住民2人の中皮腫による死亡について、同工場から飛散したアスベスト(石綿)が原因として遺族がクボタと国を相手取り、計約7900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2012年8月7日、神戸地裁で行われました。小西義博裁判長は1人については「飛散した石綿に曝露した」と認定し、クボタに約3195万円の賠償を命じ、国への請求は棄却しました。
工場労働者や運搬作業員以外に、周辺住民の石綿による健康被害に対し企業の責任を裁判所が認めたのは初めてとなります。
原告は、旧神崎工場から約200メートル離れた別の工場に勤務していた山内孝次郎さん(平成8年死亡、当時80歳)と、約1キロ離れた地区に住んでいた保井綾子さん(平成19年死亡、当時85歳)の遺族4人です。クボタは被害発覚後、周辺住民らに最高4600万円の救済金を支払ってきたが遺族らは受け取らず「責任を認めて謝罪してほしい」として提訴していました。
判決理由で、小西裁判長は運搬時の破れた麻袋からの漏出▽建物開放部からの飛散▽集塵(しゅうじん)機の性能の限界などから「工場敷地外への飛散を十分に防ぐことができていなかった」と認定。中皮腫を発症した周辺住民の居住地と神崎工場までの距離などを研究した学術論文に基づき、山内さんについては「発生源が旧神崎工場と推認させる」としてクボタの責任を認定しました。保井さんについては、居住地が離れており「関連性があると断定できない」と判断しました。
この神戸地裁判決を受け2012年8月9日、原告や弁護士によって東京・永田町の衆院第1議員会館で開かれた報告会には、国会議員6人を含む約20人が出席し、原告側の八木和也・弁護団事務局長らが、被害の実態や今回の判決の内容を説明しました。
山内さんの長男康民さん(64歳)は「クボタと、石綿の危険性を知りながら規制しなかった国は、被害がこれほど大きくなった責任を取ってほしい」と議員らに訴えました。
大阪などの印刷会社で従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、厚生労働省は、行政の担当者だけでは労災認定の判断が難しいとして、がんの専門家などによる検討会を新たに設け、審査を急ぐことになりました。
この問題は、大阪、東京、それに宮城県など少なくとも5つの都府県の印刷会社で、インクの洗浄作業などに関わっていた従業員ら合わせて24人が相次いで胆管がんを発症したことが明らかになったもので、このうち従業員や遺族など18人が仕事に関連して胆管がんになったとして、労災を申請しています。
胆管がんでこれまでに労災と認定された事例はなく、原因と指摘されている印刷会社で使われた洗浄剤と胆管がん発症との因果関係も明らかになっていません。 このため厚生労働省は、行政の担当者だけでは労災にあたるかどうかを判断するのは難しいとして、がんや化学物質の専門家などによる検討会を新たに設け、審査を進めていくことになります。
人材派遣・請負など人材サービス4団体の横断組織「人材サービス産業協議会」はパートや派遣社員など有期雇用者の業務スキルを国で定めた共通基準で評価する制度の構築を進めます。2012年8月7日、理事長に選ばれた中村恒一氏(リクルート相談役)が官民で協力して取り組むことを明らかにしました。
中村理事長は有期雇用者が全雇用者の2割強にあたる1200万人にまで拡大した一方、「意欲ある人の働きぶりなどの評価が不十分だった」と話しています。正社員に比べてキャリア支援が遅れていたことを認めています。
そこでパートや派遣社員などの有期雇用者がこれまでに携わった業務スキルを評価・蓄積して、次の就労先の確保につながる制度を「産・官・学が連携して築きたい」と話しています。人材情報の共通データベースを構築するなどの案があるといいます。
協議会で複数の分科会を立ち上げて、検討を始めました。10人程度のメンバーの半数は労使関係者や学識者、行政関係者で構成されています。1年後をメドに提言案をまとめ、産業界などと協議していく考えです。ニートなど就労経験がない若者の評価制度も検討するということです。
また、今後は新卒一括採用と年功制をベースとした従来形の雇用モデルが崩れ、有期雇用と中高年の転職がさらに拡大すると予測しています。これまでは同一の業種や職種内での人材移動が中心でしたが、評価制度の構築で医療や介護、新エネルギーなど成長領域での雇用拡大につながるとみています。
人材サービスは法規制や、派遣業務の打ち切り批判から企業からの受注が減り、打撃を受けた経緯があります。行政の法規制に関しては「労働者の働き方は多岐にわたり、一律での規制はそぐわない」と述べました。
政府の新しい「高齢社会対策大綱」の素案が2012年8月2日明らかになりました。働き方などを「人生90年時代を前提とした仕組みに転換」する狙いです。高齢社会の支え手を増やすため、60〜64歳の就業率をいまの57.3%から2020年には63%に引き上げることを目指し、社会保障制度の維持に向けた具体的な数値目標を盛り込みました。
大綱の改定は2001年以来11年ぶりで年内の策定を予定しています。大綱は政府が今後進める高齢社会対策の指針にもなります。 63%は少子高齢化が進む2032年時点で必要な労働力を確保するため必要と判断される数字です。ただ厚生労働省の2023年調査では、定年到達時に継続雇用を希望した人は75・4%で、数値の是非は今後、政府・与党内でも議論となりそうです。
今回の改定は、少子高齢化で社会保障の担い手となる現役世代が減る中、高齢者の経済的自立を促す施策を打ち出しています。原案では、65歳までの定年延長に加え、起業する高齢者への資金調達支援や老後所得の安定化に向け社外積み立て型退職金制度の普及を図る方針などを明示しました。
契約社員やパートなど働く期間が決まっている有期雇用の労働者が同じ会社で5年を超えて働いた場合、本人の希望に応じ期間を限定しない「無期雇用」への転換を企業に義務付ける改正労働契約法が3日の参院本会議で民主、自民両党などの賛成多数で可決、成立しました。 賃金や勤務時間などの労働条件は、無期雇用に転換後も有期のときと原則同じとします。2013年春に施行、2018年春からの適用を予定しています。
正社員との理不尽な待遇格差の改善に道が開けたことになりますが、パートが戦力となっている製造業や小売業などには負担増にもなります。企業側がパートの契約更新に慎重になるおそれもあり、運用には課題も多いものと思われます。
労働基準法は1回の雇用契約を原則3年以内と定めていますが、何度も契約を結んだ場合の雇用ルールはこれまでありませんでした。契約更新を繰り返し、5年を超えて同じ職場で働いたパートや契約社員は企業から突然雇い止めされる不安がなくなります。
改正法は2013年度中に施行される見通しです。
施行後にパートや契約社員、派遣社員が結んだり、更新したりした契約が対象になります。施行直後に雇われた人の勤務期間が5年を超える2018年度から影響が広がりそうです。
厚生労働省の試算では、10年の雇用者5111万人のうち、雇用契約の期間が決まっている契約社員やパートは2割強にあたる1200万人。そのうち勤続年数が5年を超える労働者は360万人に上り、企業は対応を迫られることになりそうです。
前国会に提出され、継続審議となっていた改正労働安全衛生法案について、民主、自民両党は2日、職場での受動喫煙の防止策として事業者に全面禁煙か、煙の漏れない喫煙室設置を義務付ける規程を削除し、努力義務とする修正案をまとめることで合意しました。今国会での成立を目指します。